アリスと帽子屋。

 ねえアリス。
 今まで黙っていたことだけど、ボクは帽子屋なんだ。
 え? そんなに帽子を沢山持っているんだから、見れば解るって?
 そうだね。そうかもしれない。
 でもね、もしボクが帽子屋だと名乗る前に、帽子のコレクターだって言ったら、キミはどんな反応をしたかな?
 今だって、ボクが嘘をついているのかもしれないよ。
 この無数の帽子は、ただの預かり物かもしれない。

 結局ね、こういうことなんだ。
 自分らしさは他人が決める。
 そして、自分自身でも決める。
 人の数だけ『らしさ』はあるのさ。
 そして、ボクが嘘をついていようが、本当のことを言っていようが、キミが本当だと信じれば本当だし、嘘だと思えば嘘になる。
 言葉は、渡した側と受け取る側の両方に責任があるんだよ。

 ああ、またおやすみの時間だね。
 さようなら。また会えますように。

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